平成25年度【フロン】マレーシアにおけるフロンの普及啓発活動のご報告

これまであきた地球環境会議(以下、CEEA)が主催してきたシンポジウムや学習会の中で、開発途上国におけるフロン回収が不十分さがたびたび指摘されてきました。モントリオール議定書では開発途上国のCFC、HCFCの製造、消費および貿易を規制することが決められていますが、市中に出回ったこれらのガスの回収については手付かずの状態が続いています。
CEEAでは、平成25年度より、、経済産業省の事業で秋田県へも視察実績もあるマレーシアに注目し、中でも環境NGOの活動が盛んなサバ州コタキナバル市を中心とした普及啓発活動を行っています。

当該地域での活動を始めるにあたり、平成25年12月上旬に、カウンターパートの開拓、フロン普及啓発冊子を用いたワークショップや寄贈等を行ってきました。
作成した冊子は、→ コチラ!
(上のリンクは日本語版となります。本事業では、これのマレー語版、英語版を持参しました)
今回の活動に参加予定だったメンバーは以下の通りです。
●桃井 貴子(気候ネットワーク)
●井上 郡康(EPO東北)
●村上義紀(秋田市)
●佐藤 英明(現、秋田市地球温暖化防止活動推進員)
●佐々木 道義(現、秋田市地球温暖化防止活動推進員)
●福岡 真理子(CEEA)
●東海林 拓郎(CEEA)
●石黒 承子(CEEA)

【活動初日(平成25年12月1日(日))】
参加者と現地コーディネーターの今村さんとで、サバ州やコタキナバル市の特徴や滞在中の活動内容(訪問機関における役割分担など)、スケジュールの確認を行いました。

【活動2日目(平成25年12月2日(月))】
環境NGO Environmental Action Committee(以下、EAC)を訪問しました。
EACはサバ州全体で環境保全に関する教育に力を入れており、環境のテーマ別に約40名のワークショップファシリテーターのネットワーク(SEEN)を管理している団体です。
EACからの説明で当該地域のフロンへの意識の低さが確認されました。
また、CEEAから、今回持参した普及啓発冊子の活用法(サーモカメラや断熱材を用いたワークショップ)について紹介し、これには多くの子供たちが興味関心を寄せるだろうとのことでした。
フロンに関する普及啓発活動を、上記ネットワークの一つに加えることは可能であるとの回答を得ることができました。
 

同日、コタキナバル日本人学校を訪問し、今回持参した普及啓発冊子を活用したワークショップを行いました。
まず、桃井氏からフロンに関する講義が行われ、引き続いて低学年、中学年、高学年~中学生の3グループを対象としたワークショップへと移っていきました。
低学年担当:佐々木氏、福岡
中学年担当:佐藤氏、石黒
高学年~中学生担当:桃井氏、井上氏
サーモカメラ・断熱材体験コーナー担当:東海林
それぞれのグループで、フロンについて、また、生徒が住むマレーシアの取り組み成果などを知る機会を提供できたと思います。
    

活動初日の最後は、サバ州環境保全局への訪問となり、EACのスタッフも同席となりました。
サバ州環境保全局では、EACと連携しながら市民への環境教育の充実を図っており、課題として環境教育の指導者の養成が挙げられていました。
一方、CEEAからは、EACでの打ち合わせ内容や日本人学校でのワークショップを紹介し、次年度意向コタキナバル市を中心としたサバ州内にてフロンに関する普及啓発活動を活発化させたい旨を伝えました。
様々な手法について議論されましたが、最終的にCEEAとEACが連携してファシリテーターを養成することの有効性と、サバ州環境保全局ではフィールド(教育現場)の提供が可能であることが確認されました。
   

 

【活動3日目(平成25年12月3日(火))】
コタキナバル市役所(Health & Urban Service Department)へ訪問しました。
当該部署では、大きく「ごみ回収・街の美化」「環境への啓発」を取り扱っているとのことでした。
街の美化運動については大きな成果を上げており、街に散乱するごみが減ったとの報告を受けました。
一方で、不法投棄対策では不法移民の居住区へ対処などの課題があるはか、日本のごみ分別や回収方法などに非常に高い関心を示していました。
CEEAからは、活動初日の成果やフロンの普及啓発冊子の紹介し、市が行う環境啓発活動に役立ててもらえることとなりました。
 

同日の午後には、外務省在コタキナバル出張駐在官事務所を訪問しました。
マレーシアの国の成り立ちや歴史、国・州・市といった行政機関の関係、外国人に対するマレーシア人の印象、マレーシア人の気質、教育(幼児~大学)、産業など、今後当該市域で活動するうえで貴重な情報を提供いただきました。

【活動最終日(平成25年12月4日(水))】
環境局コタキナバル支局を訪問予定でしたが、現地入りしてからキャンセルとなり訪問はかなわず、現地で取り扱われることが多い環境教育のフィールドを見学することとなりました(プランテーション農場やオランウータンの保護施設など)。
最後に、今回の活動のふりかえりを行い、次年度以降の活動内容がより効率的かつ効果的に行うための検討が行われました。
ここでは、今回作成した普及啓発冊子や日本国内で用いてきた体験キットなどを用いて学習できる「ワークブック」の有効性や、ファシリテーター養成のための日本国内での研修などがアイディアとして出されました。

CEEAでは、これらの成果を受けて、来年度以降も当該地域におけるフロンの普及啓発活動の充実を図っていく予定です。
  

なお、本事業は公益信託地球環境保全フロン対策基金(平成25年度)の助成を受けて実施されました。

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