平成26年度【フロン】マレーシアにおけるフロンの普及啓発活動のご報告

 マレーシアにおけるフロンの普及啓発活動のご報告
日本発途上国行プロジェクト
『フロンのこと→自分ごと マレーシア編』

当法人では、昨年度より、公益信託地球環境保全フロン対策基金の助成を受けて代替フロン消費量の増加が見込まれる東南アジア地域(マレーシア)を対象に 地球温暖化対策およびフロンに関する知識の普及啓発活動を行っています。 今年もマレーシア・コタキナバル市を訪問し、当該国の環境NPO等と連携して、コタキナバル市内の述べ250名に対し、フロンに関するオリジナル冊子・ワークブックを活用したワークショップ等の普及啓発を行いました。 また、対象地域コタキナバル市役所での温暖化防止やオゾン層保護に関するフロン対策の取り組み、 フロンを含む機器等の廃棄状況についての情報交換も行うことができました。

■冊子は、コチラ
■ワークブックは、コチラ
(上のリンクは日本語版となります。本事業では、これのマレー語版を持参しました)

今回の活動に参加予定だったメンバーは以下の通りです。
●桃井 貴子(特定非営利活動法人 気候ネットワーク 東京事務所)
●井上 郡康(東北環境パートナーシップオフィス)
●村上 義紀(秋田市環境部 環境総務課 地球温暖化対策担当)
●佐藤 英明(秋田市地球温暖化防止活動推進員)
●佐々木 道義(秋田市地球温暖化防止活動推進員)
●福岡 真理子(一般社団法人 あきた地球環境会議)
●東海林 拓郎(一般社団法人 あきた地球環境会議)
●石黒 承子(一般社団法人 あきた地球環境会議)

【活動1日目 平成26年10月12日(日)】
参加者と現地コーディネーターの今村さんとで、スケジュールと役割分担について確認を行いました。

【活動2日目 平成26年10月13日(月)】
サバ州の環境ネットワーク組織「Sabah Environmental Education Network」(以下、SEEN)メンバーを対象に、 フロンワークショップ講師の養成プログラムを実施しました。 SEENはサバ州の環境NGO、環境教育に関係する政府部署、研究者、学校教員、メディア関係者、企業等、約40名によるネットワーク組織です。
この日は、16名のメンバーに参加いただき、桃井氏によるフロンに関する基礎知識、 佐藤氏と佐々木氏によるワークブックを活用したフロン講座を学んでいただきました。 後半は井上氏の進行で、活発な質疑応答が行われ、 SEENメンバーから、マレーシアの小中学生の地球温暖化やオゾン層に関する知識レベルにあうように、 講座の流れに関するアドバイスをいただくなど、この後の実践に向けた有意義な意見交換が行われました。

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午後は、コタキナバル市役所 環境局(Health & Urban Service Department)を訪問しました。 環境局長や担当職員8名を対象に、フロンワークショップを実施し、秋田市の地球温暖化対策等の取り組みの紹介、 フロンを含む家電や車の取り扱い等について情報交換を行いました。

■情報交換の内容
・モントリオール議定書について、国からの市レベルへの通達はない。
・フロン回収について、回収フロンが有価物であれば自然と回収が始まるだろうとの見解を持っていた。
・現在、家電はe-waste(電気電子機器の廃棄物)という取り組みで銀は回収される仕組みがあるがほとんどが埋立上に運ばれ、 車についてもリサイクルする概念がないため、結果フロンについては大気放出している現状である。

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【活動3日目 平成26年10月14日(火)】
コタキナバル市内のステラマリス小学校(S.K Stella Maris)を訪問し、6年生40名を対象にフロンワークショップを実践しました。 佐藤氏と佐々木氏がメイン講師となり、同行したSEENメンバーはワークの際のサポートにあたりました。 最初に「オージー・オゾン(マレー語)」のDVDを上映し、フロンに関する基礎を学んだあと、 フロン冊子とワークブックを使ってフロンによるオゾン層破壊と地球温暖化への影響について理解を深めました。 生徒からは、初めて知ることが多かった、今日覚えたことを家族や友人に伝えたい、という感想がありました。

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午後は、コタキナバル市の廃棄物最終処分場(kayu madang)を視察しました。 担当部署の職員の方から、埋立場の概要について解説いただきました。 広大な処分場には、分別されていないごみが専用トラックでたくさん運び込まれ、 スカベンジャーたちがプラスチックや金属等の有価物を回収している姿が印象的でした。 前回の市役所の説明のとおり、冷蔵庫やエアコンなどのフロン製品がそのまま運ばれる現状にあることがわかりました。 ここでのふろんについての回収は不可能という状態でした。

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【活動4日目 平成26年10月15日(水)】
コタキナバル市内のステラマリス中学校(S.M.K Stella Maris)を訪問し、 4年生(日本の高校1年生にあたる)36名を対象にフロンワークショップを実践しました。 14日の小学校同様、佐藤氏と佐々木氏がメイン講師となり、 同行したSEENメンバーには解説の補足やワーク作業のサポートを行っていただきました。 生徒からは、身近なフロンが、オゾン層破壊と地球温暖化について影響を与えていることに驚いた、 ノンフロン製品を調べてみようと思うという感想がありました。

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その後は、オールセイント中学校を訪問し、6年生(日本の高校3年生にあたる)109名を対象に、 フロンワークショップを実践しました。 生徒からは、オゾン層のことは知っていたけれど、地球温暖化への影響や、 世界の取り組みなど、新しく学んだことが多くあったという感想をいただいた。 また、参加した教師からもフロンに関する質問が来るなど、会場全体が高い興味をもって参加してくれた様子だった。

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すべてのワークショップ終了後、SEENメンバーと講座のふりかえりを行いました。 フロンを初めて耳にする学生にも、DVDや冊子を活用した易しい解説やワークブックの作業により、 理解を深めてもらうことができた。サポートの協力をいただいたSEENメンバーからも高い評価をいただいた。 来年はフロンの知識をもっと身に着け、日本のフロン管理の仕組みを学びたいとの要望がありました。 また、今回のDVDやワークブックの他、桃井氏のフロンに関するプレゼンデータが欲しいというメンバーもいました。 SEENメンバーの意欲や講座内容の理解も高く、将来的にそれぞれの活動先で実践いただける可能性が感じられました。

午後は、外務省在コタキナバル出張駐在官事務所を訪問し、本プロジェクトの内容、成果を報告しました。 同席いただいた、森川事務所長と担当の高橋氏からは、マレーシアの概要、 廃棄物処理に関する州政府が抱える問題などの他、授業で用いるべき言語、日本への視察研修の必要性など、 今後フロンガスに関する普及啓発活動に資する貴重な情報をいただきました。

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【活動最終日 平成26年10月16日(水)】
サバ大学 廃棄物管理専門のモハメド・マパ教授の研究室を訪問し、附属学生とともに今回のワークショップを体験いただき、 情報交換を行いました。サバ州の廃棄物処理の実態、ごみ処理業者の種類や取り扱っている有価物に関するデータをいただくことができました。 今回の私たちの取り組みに非常に高い関心を持っていただき、研究予算さえあれば調査してみたいとのことでした。

■情報交換の内容
・エアコンの廃棄量はわからない。
・回収業者はいるものの、e-wasteのもと銀回収のみであり、フロンについては不明なため、改めて市中ストックフロンとの実態を確認できた。

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本事業は公益信託地球環境保全フロン対策基金(平成26年度)の助成を受けて実施されました。

■平成25年度 フロンマレーシア事業については、こちら

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