2025年6月20日、秋田市で「脱炭素経営・GX理解促進セミナー」が開催されました。
本セミナーには県内の企業関係者や自治体職員など約120名が参加し、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む必要性から実践事例まで幅広く学びました。
プログラム前半では、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表の川北秀人氏から、秋田の気候変動の現状について気象庁のデータをもとにした解説があり、農林水産業への影響が着実に起こっていること、適応していかなければならない現状であることが共有されました。
●セミナー全体コーディネーター
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]
代表 川北秀人氏
続く基調講演は、SAGA COLLECTIVE協同組合 事務局長 山口真知氏による「日本発 脱炭素ローカルブランドに学ぶ地域の環境と未来の産業を守る企業経営」をテーマに行われました。
SAGA COLLECTIVE協同組合は、佐賀県内の伝統産業・地場産業の担う11社が集まって2019年に発足した協同組合型のローカルブランドで、佐賀を代表する10種類の業種が参加しています。「海外進路開拓」(海外展示会への参加、高級市場向け提案)、「地域ブランディング」(全製品を“カーボンニュートラル”(地元クレジットで排出CO2をオフセット、県産材の活用)として提供)、「エシカル対応」(事業活動全体で倫理性と循環性を重視)を同時に進める新時代のローカルブランドの先駆けといえる存在です。
講演では、企業や地域がカーボンニュートラルを目指す際に重要とされるGHGの可視化や、カーボンクレジットの種類、カーボンオフセット・ニュートラルの考え方など、GHGを戦略的に削減する方法を分かりやすく解説されました。
また脱炭素と併せて地域の未来づくりには欠かせない「⽣物多様性の保全(ネイチャーポジティブ)」についても触れ、森林再生や藻場再生といった自然の回復とCO2削減の整合性に対する考え方についても話されました。
●基調講演
SAGA COLLECTIVE協同組合
事務局長 山口真知氏
本セミナーでは、来場者にも参加していただく「セルフチェックワーク」(オンラインフォームによる意識・取組状況アンケート)を導入しました。
回答は即座に収集し、コーディネーター川北氏がスクリーンで公開しながら後半のパネルディスカッションで話題展開しました。
パネルディスカッションでは、基調講演の山口氏に加え、県内企業による脱炭素に向けた取組事例として秋田銘醸(株) 取締役常務執行役員 製造部 部長 大友理宣氏、羽後ガス(株) 代表取締役 子野日円美氏、(株)権右衛門 代表取締役 須田貴志氏に登壇いただきました。
秋田銘醸(株)様は、全国の酒造会社では数少ない地域貢献やサスティナブルを意識した企業運営を行っており、脱炭素に向けた取組紹介としては、酒類製造における工場内のデマンド制御、ボイラー稼働台数の調整など機器使用の徹底した管理のほか、自社酒米栽培でのJクレジット活用など、具体的な内容と効果を紹介されました。
羽後ガス様は、環境価値(クレジット)を付随したLPガス「カーボンオフセットLPガス」を販売しており、オフセットの仕組み解説と併せて地元企業での導入事例や地域のオフセットイベント(熱気球で使用するLPガスをオフセット)事例など紹介されました。
権右衛門様は、にかほ市内9地域の広範囲で農業を営んでおり、脱炭素に向けた取組としては、中干し期間延長の取組みでメタンなど温室効果ガスの削減=Jクレジットの活用事例の他、環境や生物多様性を意識した営農や、ASIAGAP認証(持続可能な農業の国際基準)について紹介されました。
●パネラー
秋田銘醸(株)
取締役常務執行役員 製造部 部長 大友理宣氏
羽後ガス(株)
代表取締役 子野日円美氏
(株)権右衛門
代表取締役 須田貴志氏
後半は「セルフチェックワーク」から見えた現状や課題をきっかけに、コーディネーターと登壇者とで課題解決の視点を共有するディスカッションが行われました。社内コミュニケーションを通じて組織として一体感を持って脱炭素経営を進めている実例が語られ、参加者の関心を集めました。最後にコーディネーターの川北氏は、中長期で企業価値を築くための戦略として捉える重要性を強調し、セミナーは盛況のうちにしめくくられました。
今回のセミナーを通じ、GXの重要性や地域ぐるみの取組の可能性について理解が深まりました。今後もこうした場を通じて、県内企業や地域が連携し、持続可能な社会と経済の実現に向けた取組が広がっていくことが期待されます。
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