シンポジウム【どう向き合う?オゾン層破壊&温暖化リスクを持つ省エネ技術】が開催されました

平成23年10月22日(土)、秋田県中央地区老人福祉総合エリア多目的ホールにて、【どう向き合う?オゾン層破壊&温暖化リスクを持つ省エネ技術】と題してシンポジウムが開催されました。
なお、本シンポジウムは公益信託地球環境保全フロン対策基金により開催されました。
 

基調講演①「ヒートポンプの原理から最近のフロン開発状況まで」の講師は、社団法人 オゾン層・気候保護産業協議会の瀬下 裕氏でした。
瀬下氏からは、ヒートポンプにおける冷媒の役割、冷媒の温室効果・燃焼性・毒性・省エネ性の比較等が示されました。
また、瀬下氏によると、業界が自然冷媒の利用に踏み切れないのは、これらの多くは弱燃性であったり、省エネ性能で見劣りするからであるとのことでした。

 

基調講演②「フロンとは?温室効果ガスとオゾン層破壊物質」の講師は、、気候ネットワークの桃井 貴子氏でした。
桃井氏は、冷媒開発やオゾン層保護対策の歴史、フロンが漏えいした場合の地球温暖化へのインパクト、フロン回収量の伸び悩みと行政の取り組みの関係性等について詳しく解説してもらいました。
この中で、自然冷媒への転換と課税等によるフロン規制の必要性を述べられました。

 

基調講演③「ライフサイクル思考でみるヒートポンプ技術」の講師を務めたのは、横浜国立大学 大学院環境情報研究院 本藤 祐樹氏でした。
本藤氏は、ライフサイクル思考の紹介に引き続き、エアコン・洗濯乾燥機の冷媒別のライフサイクルアセスメントの研究事例を用いて、日常生活の行動の裏で何が起こっているのかに関心を持つことことが重要であると述べられました。

パネルディスカッションでは、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 理事長の安井至氏がコーディネーターとなり、シンポジウムのテーマでもある「オゾン層破壊&温暖化リスクを持つ省エネ技術」との向き合い方についての議論が展開されました。
コーディネーターの安井氏から業界が自然冷媒へ移行出来ない理由は日本人の強いゼロリスク志向のためだと主張すると、桃井氏からは消費者も自然冷媒を望んでいるとの意見が出されました。
そこで、炭化水素(プロパンなど)冷媒を用いたエアコンを例に会場の参加者に
「30万台に1台のエアコンで冷媒が漏えいする状況で、引火した場合死亡する可能性があるエアコンを買いたいと思いますか?」
と問いかけると、結論を出すのは簡単ではいことを実感した様子でした。

また、フロンの生産量と回収量の大きなギャップから、大気放出されているフロンが8割程に上っているのは正規の回収ルートに乗らないケースが考えられるので、参加者には家電リサイクル費用を払って廃棄するよう必要性が再確認されました。

最後に安井氏から、自らの商品選択一つ一つが業界を巻き込む大きなトレンドになることを自覚すること、廃棄の際は回収ルートに乗らない場合に起こりうる状況を理解すること、これらのためには消費者として学ばなくてはならないことが多くあることが確認され、パネルディスカッションは終了となりました。


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